松原隆彦『宇宙はどうして始まったのか』を読んで|宇宙はロマン

目次

どんな本?

宇宙の始まりについて現在分かっていることが書かれている本です。

ロマンが詰まっていて面白い内容でした。

難しい内容もかなり砕けた表現で書かれていて読みやすかったです。

要約

宇宙の始まりは現代でも分かっていない。

第1章 「この宇宙」には始まりがある

標準ビッグバン理論というものがある。

宇宙の誕生は不明だが138億年前は熱い火の玉のような状態から膨張し続けて、冷めていき今の宇宙になったというものだ。

熱い火の玉があったという仮定からスタートするとその後の過程は理論的に計算できる。

また、インフレーション理論というビッグバンよりも前の状態を説明しようとする理論もある。

インフレーション理論は宇宙初期の状態では今とは比べ物にならないほどの早さで膨張していたと主張する

そうすると我々が住める宇宙になったことに説明がつくそうだ

ただし、インフレーション理論の前は?と聞かれると答えられないし、現状観測できるわけではないので確実な証拠もない。

第2章 無からの宇宙創世論

宇宙が無から始まったというのもよく言われる話だ。

これの根拠としては、宇宙の誕生直後を表すかもしれないと言われるホィーラー・ドウィット方程式というのがある。

この方程式は難しすぎて一般解を求めるのは困難らしい。

そこで仮に宇宙の誕生が無とするような意味合いの仮定(境界条件)を入れると一つの特殊解が得られたから宇宙は無から始まったのではないかと言われいてるそう。

数式的にそうだからきっとそうなんじゃね?という論理ですね。

第3章 量子論と宇宙論

量子論とは物理学の一つで、とても小さい粒子のふるまいを考える分野である。

粒子を観測するとそこにあるというのは分かるが、観測しない限りどうなっているか分からない。

この「分からない」というのは我々が知ることができないというよりはあらゆる可能性を同時に秘めているような状態で、そのような状態を波動関数というのを使うと数学的に記述できる。

結局どうなっているかは分からないが、波動関数を使うと現実の状況を上手く計算できる。

腑に落ちないかもしれないが量子論はこんな感じである。

↑みんな大好きシュレーディンガーの猫的なやつです

このようなあいまいな量子論とあいまいさを排除した古典力学(車が時速60kmで走っていたら1時間で60km進みますよ~みたいな中学や高校でやったような物理)を上手に組み合わせられたら宇宙の始まりに近づけるかもと考えられているが、現状できていない。

第4章  相対論と宇宙論

相対性理論出てきました!

電車に乗っている人を外から見ると電車と同じスピードで移動しているように見えるけど、同じ電車に乗っている人が見ると止まっているように見えますよね。

このように観測者の状態によって観察対象の状態が変わります。

これを拡張させて、時間や空間も観測者の状態で変化しますよ!ってのが相対性理論です(違ったらすみません💦)

この相対性理論を使うと宇宙が膨張していることが分かるそうな。

第5章 素粒子論と宇宙論

素粒子論というとても小さな粒(原子を構成する陽子や中性子を構成するクォークが素粒子と呼ばれている)のふるまいを考える学問がある。

一方宇宙はとても大きいけれど、もっと広い視野で見てみると天体を小さな粒ととらえて素粒子論の考え方が応用できるそう。

第6章 宇宙の始まりに答えはあるのか

結局のところ、現状得られている情報では宇宙の始まりは分からない。

現在観測できる範囲を大きく逸脱してしまっている。

読もうと思ったきっかけ

タイトルが気になって手に取りました。

宇宙の始まりが解明されていたらきっと世の中に広まっているだろうから、

まだ分かっていないのだろうなと思いつつ読んでいました。

印象に残ったところ

空気抵抗を考慮すると、そうでない場合に比べて問題を解くのがはるかに難しくなる。物理では、このように初めからすべてを考慮してしまうと問題が複雑になりすぎて、かえって本質が見失われてしまう。いろいろな原因を一つずつに分けて考えていくことが、自然界を理解するための非常に有効な方法となる。

松原 隆彦. 宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) (p.66). 光文社. Kindle 版.

何事もそうですけど、まずは簡単なモデルで考えて実際のものに近づけていくのは大切なことですよね。

こういった物理定数のうち、独立に値を与えることができるものは全部で30個近く知られている。これら物理定数がどうしてその値を持つのか、理論的な理由は見つからない。実験的に測定して、初めてその特定の値を持っていることがわかるのだ。

松原 隆彦. 宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) (p.151). 光文社. Kindle 版

物理で出てくる定数ってめちゃくちゃ細かい小数のものが多いですが、昔の人の地道な実験から得られたものなんですね。

そしてその値を使うことで現実の現象を精度良く説明できるのはすごいことですよね。

感想

今後、容易に宇宙旅行ができるほどテクノロジーが発展したらもう少し宇宙の始まりが見えてくるかもしれないですね。

それまで生きている気がしませんが笑

本書からの学びを一言で

138億年前のところまではある程度の確度を持って推測ができる人類ってすごい!

こんな人におすすめ

  • 好奇心旺盛な人
  • ロマンの妄想に浸りたい人

興味を持っていただけたら下記から購入してみてください!


宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) [ 松原隆彦 ]
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この記事を書いた人

読書、カメラ、健康を愛する20代のエンジニア(工学修士)
現在は東海地方在住

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